会社解散とは?会社の解散の流れについて分かりやすく解説!

解散・清算の基本
 
榎本亮冴
榎本亮冴

こんにちは、ユーべスト司法書士事務所 司法書士の榎本です。

今回は、会社の解散の流れについて分かりやすく解説していきます。

・会社を設立したけど、何も活動していない

・前に設立した会社が税金ばかりかかる

・売上が下がってきたから個人事業に戻りたい

など、法人を設立したものの、このようなケースもあるもあると思います。

会社の廃業は何から手を付けていいのか、どの手続きが必要なのか、自分の会社は現状解散できるのか、など、分かりにくいことも多いです。

実際、株式会社の解散は、登記手続き、税務手続き、社会保険関係などの手続きがいくつかあります。これらの手続きで必要なものが何かを判断するのも面倒でしょう。

今回は、株式会社の解散から清算までの一連の手続きを、実務経験豊富な司法書士が分かりやすく解説します。

ちなみに、会社のことを、会社や法人と一般的に呼んでいると思います。

イメージとして、法人という括りに会社があります。会社というのは、次のことを言います。株式会社(特例有限会社)、合同会社、合資会社、合同会社の4つです。この4つの会社は営利法人といいます。一方で、一般社団法人やNPO法人、学校法人はなどは非営利法人といい、会社とは異なります。

ですから、厳密には、会社解散といえば、株式会社(特例有限会社)、合同会社、合資会社、合同会社の解散手続きについての内容になります。

この記事では株式会社を中心に取り上げていますが、合同会社もおおむね手続きは同じです。

会社解散とは?

株式会社の廃業手続きは、大きく分けて「解散」と「清算」の2つの手続きからなっています。イメージ的には、会社を解散させて営業活動を中止したあと、債務の返済だったり、売掛金の回収をしたり、在庫や不動産などを現金化したりして、会社の財産を整理する清算作業していくことになります。

会社が解散するケースはいくつかありますが、ほとんどの会社が株主総会の決議による解散を行い、自主的に廃業していると思われます。

会社清算とは?

会社の清算とは、解散したあとの事務手続きを言います。契約の終了、債務の返済、売掛金の回収、在庫や不動産などの現金化を行い、会社の財産を整理していきます。整理し終わったら、清算した内容を株主総会で承認して、すべての手続きが完了です。これを清算結了といいます。

債務をすべて返済仕切っても会社に資産が残った場合は、最後に株主の持ち株数に応じて現金などを分配することになります。これは残余財産の分配といいます。

債務超過でも解散・清算できる?解散と破産の違い

債務超過というのは、保有している資産でもって、すべての負債を返済できない場合をいいます。よくあるご相談として、「公庫から借入が数百万円程残っていますが、解散できますか?」というものがあります。全額返済不可のような場合は、株主総会の決議で自主的に解散して、手続きを終えることはできません。

この場合は、破産手続きを行っていくことになります。破産手続きというのは、裁判所に申し立てて、破産管財人という人を選任してもらい、会社財産の整理をしてもらう手続きです。

この破産手続きを行うことで、すべて弁済できなくても、会社は消滅し、負債なども一緒に消滅することになります。

破産すると代表や個人は責任を負うか?についてはこちらで解説しています。

会社の借金が役員の貸付金であれば免除すればいいのですが(債務免除益という論点は残ります)外部から借りている場合は、自主的に会社をたたむことはできないということです。

税金を滞納している場合の会社の解散清算

税金の滞納がある場合はどうでしょうか。これも借入と同様に、税金の滞納がある場合は、自主的に会社をたたんでしまうことはできないとされています。

一応、登記手続きだけ進めて清算結了(閉鎖)までこぎつけることはできますが、実質的に見て税金の滞納がある場合は、納付するまで税金は消滅しない扱いになるということです。

会社に残った財産があるなら、納税に当てるのが当然なので、残余財産の分配を行った清算人や、分配を受けた株主が第二次納税義務者として、本来追わない法人の納税義務を負うこととされています。

ただ、国税徴収法に、「清算人は分配又は引渡しをした財産の価額の限度において、残余財産の分配又は引渡しを受けた者はその受けた財産の価額の限度において、それぞれその責めに任ずる。」とあるので、残余財産の分配を行っていたことが前提にあることになります。

会社の資金が枯渇してしまい、法人から資金を捻出しようとしても1円にもならない場合、税務署からしても差し押さえる財産がないわけですが、このような場合でも税務署と協議するなど対応が重要かと思います。

税金が払えない場合はどうする?

個人と異なり、法人の場合は破産することにより税金の支払い義務が消滅することになります。ただ、破産手続きは、裁判所や弁護士を通して行うことになると思いますので、最低でも50万円くらいの費用を残しておかないと、結局代表者個人が身銭を切って破産費用を用意するといった方法しか残されません。

破産するために借金するというのは本末転倒なので、資金が枯渇する前にできるだけ早めの判断が重要でしょう。

会社解散清算の手続きの流れ・スケジュール

ここからは、廃業の主な流れ・手順です。廃業のメイン手続きには、登記手続きと税務手続きがあり基本的にこの2つで完了します。登記手続きというのは、現在生きている登記事項証明書を閉鎖する手続きとなります。会社の基本情報はすべてこの登記事項証明書に記載されていますので、廃業し、清算結了の登記まで完了すると、公にその会社が消滅したこと証明することができます。

税務手続きは、確定申告や異動届出を行います。これに加えて、社会保険の加入状況に応じて、資格喪失の届出、従業員がいる場合は離職の手続きなどがケースによって必要です。

株主総会決議で解散する

廃業を決めたら、株主総会で解散の決議を行います。この決議では、解散することを決議にするとともに、基本的に清算人の選任決議も行います。

会社は解散すると、取締役が必ず全員自動的に退任し、代わりに清算人を1人以上就任させる必要があります。

この清算人は、会社の債務を弁済したり、売掛金を回収したりして、清算事務を行う役職です。清算中の会社にだけ置かれることになります。

解散の登記と登記費用

解散に関する株主総会の決議が完了したら、管轄の法務局に解散と清算人選任の登記を通常は一緒に申請します。このときの費用は、登録免許税が39,000円が必要です。

管轄の法務局は、会社の本店所在地により決まっています。渋谷区にあれば東京法務局渋谷出張所、新宿にあれば東京法務局新宿出張所などになります。「会社登記 管轄」などと調べて管轄法務局を調べてみましょう。

法務局に提出する書類は、株式会社の解散の場合は基本的に下記の書類が必要になります。

登記申請書 (法務局又は郵便局で39,000円の収入印紙を購入し貼ります)
【添付書類】
・定款
・株主総会議事録(1号議案:解散決議、2号議案:清算人選任の決議)
・株主リスト
・清算人の就任承諾書
・印鑑届出書(清算人が会社印鑑を届出します)
・代表者個人の印鑑証明書

よくあるケースとしては、法人代表者がそのまま清算人になるわけですが、登記されている住所が現在の住所と違うときに別途手続きは必要かという点です。この点、新しく清算人という形で就任しますので、現在の住所で手続きすればよく、別途手続きは不要です。

また、取締役の任期が切れている場合、本来なら解散の前提として重任登記が必要なんですが、どうせ解散するならあえて重任登記を挟まずに、清算人として選任してしまうことも可能です。取締役や取締役会の登記は、解散すると同時に登記所で自動的に抹消されます。

他にも、会社の実印がどこにあるかわからないケースなどもたまにありますが、清算人が就任する際に、必ず新しい会社印鑑を届け出ることになっています。ですから、現在登録してある会社実印が紛失していても、新しい印鑑を届け出れば手続き可能です。

会社印鑑に特に決まりはありませんし、新たに印鑑を作成するより、個人の認印など適当なもので代替提出することも可能です。

官報公告と掲載費用

官報は、色々な会社の決算や合併、会社分割、株券廃止、解散などがあったことを記載している紙面です。官報販売所に申し込んで、自分の会社が解散しましたよと公告してもらうことを官報公告といいます。

掲載の費用は、3万5,000円から3万9,000円程で、行数により若干幅があります。

会社法499条

清算株式会社は、第475条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、2箇月を下ることができない。

2 前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。

官報公告は会社の債権者に向けて、解散したことを知らせるために行いますが、おそらく見ているのは銀行くらいで普段目にすることはないかと思います。知れている債権者には、各別にこれを催告せよとの規定もありますから、官報公告だけでなく、個別に通知を送る必要もあります。

ちなみに、知れている債権者とは、名前と債権額が分かっている債権者のことです。

この公告は、解散後遅滞なく行いますが、条文のとおり2カ月間下回ることはできないとあることから、解散から清算結了まで最低2カ月はかかることになります。

債権者がいない場合は、官報公告ってしなくてもいいのか?という点についても解説しています。

会社解散における官報公告とは?公告しないとどうなる?期間や費用について
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税務署等へ確定申告と異動届を提出する(解散期)

会社が解散すると、事業年度が変わります。例えば、10月1日~9月末までが1事業年の会社が、5月末に解散すると、この時点を一区切りとし、10月1日から翌年5月末までの7か月間の確定申告を行うことになります。この期を解散期といいます。

解散の登記が完了したら、登記事項証明書と併せて、異動届(解散して事業年度が変わったこと記載)を税務署などに提出します。また、上記の通り、解散することで解散日の翌日から2カ月以内に、確定申告(通常事業年度の開始日から解散日までの解散期分)をする必要があります。

清算事務をする

解散後は、これまで継続していた契約を終了させる、借金を返済する、売掛金や貸付金の回収をする、不動産や自動車などの会社の資産を売却する等の事務を行っていきます。

解散時の主な資産の処分方法について記載します。

不動産

会社所有の不動産は、特に多いのは会社の代表者個人が買い取るケースではないでしょうか。ここで注意すべきなのは、あまりにも安く代表者個人に引き渡すと、低廉譲渡として、高額な贈与税が発生するなど、税務上不利になる場合があるということです。最低でも固定資産評価額以上での売買が安全ではないかと思いますが、実際には税務専門家に確認してから行うようにしましょう。

また、不動産は法人名義となっているはずですから、買主名義に不動産の名義変更登記を行う必要があります。この際に、土地は課税価格×2%(又は1.5%)建物は、課税価格×2%(又は減税で0.4%)の登録免許税が発生します。

自動車

自動車も会社名義になっているものを、代表者個人が買い取ることが多いと思います。名義変更は、管轄の運輸支局に必要書類を提出して行います。

本店の契約をしている場合も清算事務に不要であれば早めに解約してしまいましょう。なお、バーチャルオフィスなどの場合、清算結了の登記完了後でなければ解約できないケースもあります。

残余財産の分配をする

清算事務を行い、会社債権者への借金の返済をしても、会社にが残った財産を残余財産といいます。この残余財産は、最後に株主に配当します。これを残余財産の分配といいます。この分配は、基本的には各株主の持株割合に応じて平等に配当を行います。例えば、株主2名でそれぞれ50%の場合、会社に200万円余ったら、100万円ずつ配当します。

また、この残余財産はみなし配当に該当し、所得税の課税対象となる場合があります。

どのような場合に、課税対象となるかというと、株主が出資した金額よりも多く残余財産を分配するケースです。

例えば、株主2名がそれぞれ500万円出資した資本金1,000万円の会社を解散する場合に、解散して会社資産を整理したところ、残余財産が1,500万円だったとします。それぞれの株主に配当する金額は750万円となりすから、出資した当初より250万円上回っています。この上回っている金額が所得税の課税対象となります。税率は20.42%です。

この配当も所得税は源泉徴収制度の対象ですから、清算中の会社が源泉徴収する義務があります。

ですから、通常は、役員退職金をうまく活用し、株主資本と残余財産を近づけることで、みなし配当課税の節税します。

清算結了をする

解散日から2カ月経過し、前述の清算事務が終わったら、再度清算事務の内容について株主総会で承認の決議を行います。この決議を終えたら清算結了です。

入手金の予定がすべて終わった場合は、法人口座も解約していきます。

なお、会社を解散しても法人口座が自動的に閉鎖となることはありませんので、閉鎖するには、登記事項証明書をなどを添付して、金融機関に口座閉鎖の手続きを取りましょう。

清算結了の登記手続きと登記費用

上記の清算結了の承認決議を終えたら、法務局に清算結了の登記手続きをします。費用は登録免許税は2,000円です。この登記が完了すると会社の登記事項が閉鎖され、会社が消滅したことが登記事項証明書(閉鎖)で確認することができます。

清算結了の登記手続きも解散の登記を行った管轄の法務局に申請します。

申請に必要な書類は基本的に下記のもになります。

登記申請書(法務局又は郵便局で2,000円の収入印紙を購入し貼ります)
【添付書面】
・株主総会議事録(1号議案:清算内容の承認)
・清算事務決算報告書
・株主リスト

なお、清算結了の登記は、解散してから(厳密には清算人が就任してから)2カ月を経過していないと、できません。これは、官報公告期間が最低2カ月となっているからです。

9月末に解散決議をした場合は、最短でも10月1日からの官報公告となりますので、12月1日が公告期間満了日となり、清算結了できるのは、翌日の12月2日以降となります。

また、官報公告は休日祝日には、掲載できず、また、満了日が休日祝日の場合は、その翌日が満了日となりますので、清算結了可能日を最短で設定する場合は、期間計算を間違えないように注意が必要です。

申請を誤ると、補正対応など少々面倒ですので、少し余裕をもって清算結了日としてもいいでしょう。

税務署等へ確定申告と異動届を提出する(清算期)

清算結了すると、解散日の翌日から清算結了日までを清算期として、税務署などに確定申告を行います。併せて異動届を提出します。

異動届出は、登記事項証明書と併せて、(清算して事業年度が変わったこと記載)を税務署などに提出します。また、上記の通り、清算結了することで清算結了日の翌日から1カ月以内に、確定申告(解散日の翌日から清算結了日までの清算期分)をする必要があります。

一連の手続きを図にするとこのようなイメージになります。

清算資料の保存

清算人は、清算結了の登記から10年間、清算会社に関する帳簿や、事業・清算に関する重要な資料(帳簿資料)を保存する義務を負います。捨てずに保管しておきましょう。

これで、解散・清算手続きは完了です。

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榎本亮冴
榎本亮冴

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執筆者プロフィール

榎本亮冴
榎本亮冴司法書士
ユーベスト司法書士事務所 代表司法書士
会社、法人設立手続き全般、役員変更、商号変更、事業目的変更等の一般的な商業登記手続き、株式会社等の法人の解散清算手続き、株式譲渡、事業譲渡、会社分割等のM&Aの手続き等法人の登記実務件数は1,000件以上。
これまでの豊富な経験に基づき、会社設立支援から解散清算までに特化し、法人のお客様向けに幅広い業務に対応させて頂くことができます。どうぞお気軽にご相談下さい。
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