会社員として再就職する際、勤務先が副業を禁止している場合、現在の株式会社の取締役であることが問題となる可能性があります。会社法などの法的観点を踏まえ、適切な対応方法を解説します。
会社役員の副業は違法?
1. 会社法上のポイント
会社法上、取締役が他の会社に雇用されること自体は違法ではありません。問題となるのは、勤務先の就業規則で副業が禁止されている場合です。
なお、これは勤務先の就業規則の問題であり、副業が違法になるといったことではありません。
2. 勤務先の就業規則の確認
再就職を予定している会社の就業規則を確認し、副業禁止の具体的な内容を把握しましょう。以下の点を特にチェックしてください。
- 兼業禁止の範囲:会社の利益と競合する業務のみ禁止されているのか、それともすべての副業が禁止されているのか。
- 役員就任の扱い:法人の代表や役員を務めることが禁止されているか。
- 許可制の有無:会社の許可を得れば可能なのか。
副業が禁止の勤務先に再就職する場合、自分が株式会社の役員(代表取締役・取締役)であることがバレるかどうかは、以下の要因によります。
1. 商業登記簿からの確認
株式会社の代表取締役や取締役は、法務局で取得できる 「履歴事項全部証明書(登記簿)」 に記載されます。
企業によっては、採用時や入社後にこの情報を調査することがあります。
2. 税務関係からの情報流出
再就職先の企業が、税務署や社会保険関係の手続きであなたの副業収入を察知する可能性もあります。
- 住民税の通知:給与所得以外に事業所得があると、住民税額が通常より多くなるため、会社の経理担当者が気づくことがあります。
- 社会保険の加入:代表取締役であれば、自社で健康保険や厚生年金に加入している場合もあり、再就職先と重複が発覚することも。
3. SNSやネット情報からの発覚
あなたの名前が会社のWebサイトやSNSに載っていると、検索されてバレる可能性があります。特にLinkedInやFacebookのプロフィールが公開されている場合は注意が必要です。
4. 前職や取引先からの情報
前職の同僚や取引先が、新しい勤務先の関係者とつながっていると、「あの人、まだ会社の代表やってるよね?」と話が広まることもあります。
5. 競業避止義務による調査
特に同業種への転職の場合、競業避止義務(会社の利益を守るためのルール)が適用されることがあります。そのため、会社が念入りに調査することもあり得ます。
バレないようにするための対策例
- 代表取締役を辞任し、信頼できる人に交代する
- 住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に変更する(給与天引きを避ける)
- SNSや会社HPの情報を非公開にする
完全に隠すのは難しいですが、適切な対策を取ればリスクを減らせます。