解散公告は必要?【コラム】

今回は解散公告について会社実務に詳しい司法書士が解説します!

この記事は、株式会社、有限会社、合同会社、一般社団法人等の法人に共通する内容を扱います。


解散公告は必要?

「解散公告は必要ですか?」という質問をよくいただきます。結論としては以下の通りです。

  • 官報公告は法律で義務付けられています。
  • ただし、未実施であってもほとんどの場合、問題にはなりません。

解散の官報公告とは?

そもそも官報とは、政府が発行する公的な情報紙で、会社の重要な行為(合併や解散など)を国民に知らせるためのものです。

会社を解散する際に行う公告は、債権者を保護することを目的としています。

つまり、「これから会社を解散しますので、債権者の方は申し出てください」という趣旨です。

(公告例)

官報の紙面は一般の方でも閲覧可能ですが、実際には金融機関が破産情報を確認するなど、特殊な目的で使用されることがほとんどです。


官報公告の現状

会社の解散手続きを進める中で、行政機関が官報公告の実施を確認することはありません(少なくとも法務局では確認されません)。

そのため、利害関係者(株主や債権者など)がいない場合、解散公告を掲載しても実質的には無意味となることが多いです。

また、株式会社の場合、活動状況に関わらず毎年の決算を公告(官報などで)する義務がありますが、実際に掲載している会社はごくわずかです。

  • 官報で決算公告を実施している株式会社:1.8% (出典:東京商工リサーチ『2022年「官報」決算公告調査』)

いずれも法律には罰則規定(100万円以下の過料)がありますが、未実施が確認されることはほとんどなく、結果的に多くの会社が掲載を見送っています。

 


費用の問題

解散公告を官報に掲載する場合、35,000円–40,000円程度の費用がかかります。

この費用負担も、掲載をためらう要因となっています。

現行法では、どのような状況でも官報公告が義務付けられていますが、設立後ほとんど活動していない会社の解散など、明らかに無駄と思われる場合もあります。

今後、掲載費用の見直しが行われれば、実施率の向上につながるかもしれません。

以上、解散公告については未掲載でもリスクは低いものの、一応義務となっていることは押さえておきましょう。